医療法人社団 すずき医院

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メタボについて

メタボからの脱出、低インスリンダイエットか糖質制限ダイエットか?

1.人はなぜ太るの?

クマは餌をたらふく食べてメタボ状態で冬ごもりし、春先にガリガリの体で穴から出ます。
人間にもエネルギーを脂肪として体に貯える能力が備わっていますが、冬眠しないのにご馳走を食べ続け、作業するときも移動するときも文明の利器に頼ります。
ですから、現代人は食べ過ぎで運動不足になっています。太るわけです。

肥満には皮下脂肪が多いタイプと内臓脂肪が増えるタイプがありますが、特に後者が問題です。
内臓に脂肪が蓄積すると血糖値を調節するインスリンというホルモンのはたらきが鈍くなり、それを補うために過剰のインスリンが分泌され、その結果、高血圧、糖尿病、高脂血症などの病態がいくつも重なって起こるようになります。
これをメタボリックシンドロームと呼んでいます。
メタボを放置すると動脈硬化が進行して脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まります。

1.人はなぜ太るの?

2.メタボからの脱出

肥満やメタボを指摘された人は1日の摂取カロリーを消費カロリーより低く設定して余分な体脂肪を燃焼させる必要があります。
とは言ってもカロリー計算は難しいので、まずは普段の食事を減らすしかありません。

どのくらい?

脂肪1kgの熱量は7200kcalですので、1か月で体脂肪を1㎏減少させるには7200kcal÷30日=240kcal、つまり1日当たり240kcal減らせばいいことになります。
この程度ならダイエットの苦痛も少なく、しかも腹囲や体重の変化が実感できます。
240kcalとは、ご飯でお茶碗1杯、食パンなら6枚切り1.5枚に相当しますが、実際に毎日食事から240kcal減らしたとしても計算通りに脂肪が減るとは限りません。
エネルギーの出納は食物の栄養成分や食物繊維の含有量、遺伝体質、基礎代謝量、運動習慣などに大きく影響されるからです。
エネルギー代謝は極めて精密に制御されています。
まずその仕組みを大まかに把握してください。

血糖値が上がると脂肪が増え、血糖値が下がると脂肪が減る!

腹ペコで炭水化物をガッツリ食べると?

血糖値がドンと上がります。
すると、すい臓からインスリンというホルモンが大量に分泌されて血糖値をドンと下げますが、このときに余分な糖分が体脂肪として蓄積されます。
この繰り返しが肥満やメタボを生み、やがて糖尿病へ移行します。

空腹時または運動時には?

血糖値が下がり、今度はすい臓からグルカゴンというホルモンが分泌され、肝臓のグリコーゲンを分解して血糖値を上げます。
同時に脂肪の分解を促進し、グリセロールやアミノ酸を原料として糖を新生し、体はアミノ酸を供給するために筋肉を異化させて糖新生を維持します。

さらに飢餓状態が続くと?

体は脳を守ろうとして脂肪酸からケトン体という物質を作って栄養源とします。
過激なダイエットをすれば体脂肪はより速く確実に減りますが、いいことばかりではありません。
筋肉が減少し続けて基礎代謝量が下がればむしろ太りやすい体になり、そのうえカロリー不足から貧血や骨粗しょう症などを起こすこともあります。
またケトン体が溜まるとケトアシドーシスに移行する危険もあります。

さらに飢餓状態が続くと?

カロリー制限はメタボ脱却の最善策ではない!

長い間、メタボや糖尿病の対策としてカロリー制限と運動療法が行われてきましたが、思ったほど効果が上がらないことが医師や栄養士の悩みでした。
カロリー制限は予想以上に苦痛を伴うため脱落者が多く、ウォーキング以外の運動療法は長続きしないからです。
糖尿病とメタボ対策の核心部分は食後高血糖の是正とインスリン分泌の抑制にあります。

具体的に言うと?

白米などの炭水化物を摂り過ぎると血糖値が急激に上がって肥満の原因になりますが、玄米などの食物繊維の豊富な炭水化物では消化吸収が遅くなるため白米ほど血糖が上昇しません。
これが後述する低GI食品の利点です。

炭水化物を量的に制限すると血糖値が下がって肝臓で糖新生が亢進し、脂肪が分解されて体脂肪が減ります。これが糖質制限の目的ですが、同時に筋肉の異化が亢進しますのでタンパク質の補給と運動が鍵になります。
炭水化物を制限しなくても30分以上の有酸素運動によって血糖値が下がると脂肪が消費されます。
これが運動療法の効果です。

一方、脂質やタンパク質も過剰に摂取すれば肥満の原因になりますが、糖質摂取との大きな違いはインクレチンと総称される消化管ホルモンの分泌を促して血糖を下げる方向に働くことです。
特に、タンパク質は食欲中枢を抑制して満腹感をもたらすため肥満の原因にはなりにくい栄養素です。

秘訣は食後高血糖の是正とインスリン分泌の抑制にあり!

以上より、炭水化物、タンパク質、脂質のすべてを減らす総カロリーの制限はメタボ脱却の最善策ではないことがわかります。
このような背景の中で、低インスリンダイエットや糖質制限ダイエットが考案されるようになりました。

3.低インスリンダイエット

GIって何?

低インスリンダイエットの理解に必要なのがGI(グリセミック・インデックス)で、食品によって血糖値が上昇するスピードを数値で表しています。
数値が高いほど血糖値が上昇しやすく、インスリンを多く消費して脂肪が蓄積されやすいと判断します。

低インスリンダイエットでは、GIの高い食材(太りやすい食材)をよりGIの低い食材(太りにくい食材)に置き換えます。
たとえば、主食では白米や餅より玄米や五穀米、食パンやフランスパンよりライ麦パンや全粒パン、うどんよりそば、デザートではチョコレートケーキよりチーズケーキを選ぶといった要領です。

GIは食物繊維、タンパク質、脂質などの含有量に影響されるからです。応用編として、ご飯は納豆、とろろ、卵などをかける、パンにはジャムよりもバターを塗る、牛乳やシチューに浸して食べる、シリアルは牛乳やプレーンヨーグルトをかけて食べる方がそのまま食べるより食後血糖が上がりにくくなります。

量を食べないと満足しない人は市販されている低糖のご飯、パン、麺などを利用するのも方法です。
注意すべきは果物に含まれる果糖で、GIは低く血糖値は上がりにくいのですが体内で中性脂肪に変わるため食べ過ぎは禁物です。

血糖の急激な上昇は調理法とも関係があります。
一般に、食品を加工すればするほど消化が速く血糖値が上がりやすいため、ラーメンやパスタはやや硬く茹でるほうが血糖上昇を抑えられます。
ただし、硬めに炊いた玄米や麦ごはんと同様に消化吸収が遅くなって消化器への負担が増すので、胃腸の具合が悪いときは迷わず白粥に変えて負担を軽減してください。

GIって何?

セカンドミール効果の重要性について

セカンドミール効果とは、1回目の食事(ファーストミール)で低GI食品を食べると直後の血糖のみならず次の食事(セカンドミール)の食後血糖にも影響を与える現象を指しており、肥満やメタボの予防に対して多くのヒントを与えています。

まずは朝食の習慣を付けることが大切です。
朝食は多少カロリーが高くても構いませんので、食物繊維が豊富で高タンパクの食品を選んでください。
日常生活では昼食の選択肢が限られてしまうため、低GIの朝食をとることで朝食後のみならず昼食後の高血糖を抑えることが肥満予防のポイントです。

自宅で朝食をとる余裕がなければファーストフードでもよく、食物繊維を意識してハンバーガーにはミネストローネやサイドサラダを添え、立ち食いそばにはワカメ、とろろ、大根おろしなどをトッピングしてください。
そばに卵や天ぷらを加えると総カロリーは上がりますが、タンパクや脂質が増えるので食後の血糖値は上がりにくくなり、セカンドミール効果も期待できます。
もちろん、タンパクと脂質を無限に増やしてもいいことにはなりません。
何をどのくらい増やすかについては、自分なりにトライしてみて1か月毎に腹囲や体重の変化で判断するといった検証が必要でしょう。

4.糖質制限ダイエット

低インスリンダイエットが「糖質の質」に着目するのに対し、糖質制限ダイエットは「糖質の量」を問題にします。
両者には血糖値の急激な上昇とインスリン分泌を抑えるという共通点があるものの、炭水化物の摂取量が違います。

日本人は糖質過多?

厚労省は炭水化物の必要量について総エネルギー摂取量の50~65%を目安としています。
これは総エネルギー100%からタンパク質と脂質の必要パーセントを差し引いて得られた数字で、日本人の平均的な炭水化物摂取比率に合致していることから頻繁に引用されています。

日本人の食事摂取基準(2015 年版)」 によれば60歳、男性、事務職の1日のエネルギー必要量は2100kcalですので、厚労省の指針ではその人の糖質摂取の目安は約1200kcalになります。
1200kcalは糖質300gの熱量であり、白いご飯に換算すると1日5~6膳、1食当たり約2膳になります。

これが多過ぎるかどうかは個人の体格、筋肉量、運動習慣などにも影響されるため一概には言えませんが、中年期以降の事務職の人にとって日本人の平均摂取量である1日300gの糖質は要注意で、食習慣によっては食後高血糖を繰り返し、体脂肪が蓄積して肥満やメタボに移行する可能性があります。
炭水化物の必要エネルギー比50~65%は、活動量の少ない現代人にとってそろそろ考え直す時期かもしれません。

マイルドな糖質制限が糖尿病を救う?

アメリカの糖尿病学会は1日130g以下の糖質制限を採用していますが、日本の糖尿病学会は糖質制限に対して慎重な姿勢を崩していません。
糖質のみを制限することの長期安全性が担保されてないからです。
糖質制限を採用する医療機関が増えているとはいえ、日本における糖尿病治療の基本は依然、カロリー制限と運動療法です。

これに対し、北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏は、1日の糖質量を130g以下、1食40g以下に制限すれば総カロリーの制限をしなくても血糖や中性脂肪の改善が得られると主張しています。(『糖質制限の真実』、幻冬舎2015)
つまり、1食の糖質を40g(160kcal、ご飯軽く1杯)以下に抑えれば、脂質やタンパク質を好きなだけ食べても糖尿病がよくなることになります。

糖質制限ダイエットはシンプルでストレスが少ないため、今や一般の健康法として世界中でブームになりました。

本当に、脂質やタンパク質を好きなだけ食べてもいいの?

上述したように、糖質制限で血糖が下がると糖新生が起こります。
その原料として脂肪が消費されてメタボ対策になるのですが、同時にアミノ酸も消費されるので筋肉がやせないようタンパク補給と運動が必要になります。

但し、糖尿病で腎機能障害を伴っている例ではタンパク制限が必要な場合がありますので必ず担当医に相談してください。

確かに、タンパク質と脂質の摂取をある程度増やす必要がありますが、好きなものを好きなだけというわけにはいきません。
タンパク摂取では、霜降り肉<赤身肉<鶏肉<魚貝<青身魚、卵は1日1個まで、乳製品は低脂肪、大豆製品は毎日。
脂質では、トランス脂肪酸を含むマーガリンやカップ麺などの加工食品と古い油の使用を避け、ドレッシングにはエゴマ油、シソ油などのオメガ3系を、加熱調理には酸化しにくいオリーブ油、キャノーラ油、米油などのオメガ9系を使うなどです。

間食にはポテトチップスではなくナッツを。

本当に、脂質やタンパク質を好きなだけ食べてもいいの?

1日の糖質量を50g以下にしてケトン体産生を促すケトジェニックダイエットを推奨する研究者もいますが、長期安全性の問題もあり、そもそも炭水化物が極端に少なくタンパクと脂質が極端に多い食事は日常生活においてやや非現実的です。

イメージとしては、夕食の主食を抜くのが初歩的な糖質制限、3食の主食を半分に減らすのがマイルドな糖質制限、3食の主食をすべてカットするのがケトジェニックです。
自分なりに低GI食や糖質制限を試しても減量できない場合は総カロリーを見直すことが必要ですが、基礎代謝が低下している人が多いため、筋トレを含む運動療法を並行して行うことをお勧めします。

5.運動療法を検証する

スポーツ選手にメタボなし!

人間が野生動物のように野山を走り回っていればメタボにはならず、当然ながらスポーツ選手にもメタボはいません。
定期的な運動を続けて脂肪が燃焼されると、インスリンの効き目がよくなって高血糖や高血圧の改善が期待できます。
でも、月1回のゴルフや草野球では運動療法にはなりません。
さて、どうしましょう?

スポーツジムかジョギングか?

週2~3回、スポーツジムで水泳と筋トレをするのは理想的な運動療法です。
水泳などの有酸素運動と筋力トレーニングとの組み合わせは、脂肪を減らして筋肉量を増やすため、基礎代謝量が増加して脂肪がつきにくくなるからです。

しかし、過去の経験上、メタボと判定されてスポーツジムに通った人は数えるほどしかいません。
働き盛りの人には特に高いハードルでしょう。

でも、いきなりジョギングを始めるのはお勧めしません。
スポーツ経験者以外は足腰を痛めやすく、また心臓への負担も心配です。
目安として、運動直後の脈拍が1分間に120を超えないこと、70歳以上の高齢者では100を超えないような運動強度が安全です。

ストイックな糖質制限と筋トレで短期間の効果を目指す方法もありますが、長続きしなければ意味がなく、5年後、10年後も健康を維持できるか?というスタンスで臨んでください。

ウォーキングだけでは足りない?

毎日30~40分程度の速足ウォーキングは最も一般的な運動療法で、非常に多くの人が実践しています。

万歩計の場合、10分で1000歩になり、約40kcalを消費します。
でも、速足で30~40分歩いても消費エネルギーはせいぜい120~150kcal程度であり、脂肪の燃焼を目指すのであれば食事と運動でそれぞれ120~150kcal減、計240~300kcal程度の消費が必要でしょう。

さらに、筋肉トレーニングが加われば基礎代謝量が上がって脂肪がつきにくくなります。
自分でできる筋トレのメニューとして、腕立て、腹筋、スクワットなどを1セット10回として3セット、週3回くらい行うと効果が上がりますが、ウォーキングと両立させるにはかなりの忍耐と努力が必要です。

人によっては、筋トレの代わりにキャッチボール、壁打ちテニス、サッカーやバレーボールのパス練習などを1回10~20分で週3回行うほうが続けやすいかもしれません。
でも、万歩計の歩数や筋トレの回数にこだわるとストレスになります。

ウォーキングだけでは足りない?

「継続は力なり」効果は必ず現れます!

大事なことは、体脂肪の減少によって腹囲が減り、血圧や体調が改善してゆく様子を実感して楽しむことです。「継続は力なり」です。

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